初心者・中級者が劇的に筋肉をつけるコツ②:細胞核の数を増やす方法

本記事では,細胞核の数を増やす生理学的メカニズムを説明します.

前回記事では「筋肉の公式」を紹介し,筋肉が大きくなる=筋繊維を太くする,ということを説明しました.

さらに,筋繊維を太くするには,タンパク質製造工場の役割を担っている「細胞核の数」を増やす必要があり,そのためには高負荷のトレーニングが必要である点を紹介しました.

初心者・中級者が劇的に筋肉をつけるコツ①:筋肥大のメカニズム

ここでは,「なぜ高負荷のトレーニングが細胞核の数を増やすのか?」について,ひとつひとつ分かりやすく説明します.

核が増えるメカニズムを理解することで,効率的に細胞核を増やすトレーニングを行なうことや,サプリメントを選択することができるようになります.

増える細胞核はどこから来るのか?

筋細胞の細胞核を増やすことを考えるにあたり,まず第一に「増える細胞核はどこから生まれるのか?」を把握する必要があります.

直感的なイメージでは,「既にある核が分裂して増えるのかな~?」と思うのですが,違います.

確かに,受精卵などが細胞分裂する場合は,1つの核が2つに分裂して増えます.

ですが,筋細胞は細胞分裂しないため,核が分裂することはありません

だとすると,どこから生まれるのかですが,

実は筋細胞は外部から細胞を取り込んで細胞核を増やします

外部の取り込まれる細胞は,「サテライト細胞」といって,筋繊維の周りに張り付いている細胞です(下図).

この筋繊維の周りに張り付いているサテライト細胞は,筋細胞になりそこなった細胞です.

そのため,サテライト細胞の核は,筋細胞の核と同じように働くことができます

よって,サテライト細胞を取り込むことで筋細胞の細胞核を増やすことができます.

サテライト細胞を取り込む方法

何もしていないときは,筋細胞はサテライト細胞を取り込むことはありません.

サテライト細胞を取り込むには,「筋細胞=筋繊維」に大きな損傷が必要になります

筋繊維の損傷から,細胞核の増加までの流れは以下のようになります.

最初にトレーニングによって,筋繊維に損傷が発生します

損傷が起きると,それを修復するために白血球(のなかの好中球)が損傷部位に集まり,酵素などを発生させます.

この酵素などが炎症を生みだし,筋肉痛の原因になります.

発生した酵素に別の白血球(マクロファージ)が集まってきて,筋繊維の損傷した部分を食べて,きれいにします.

さらにマクロファージは,サテライト細胞が筋繊維の中に入るきっかけとなる化学物質を放出します.

化学物質を受けたサテライト細胞は分裂を開始し,分裂した片方が筋繊維に取り込まれます.

取り込まれたサテライト細胞は,筋細胞の細胞核へと変わります.

以上の流れを通して,筋細胞はサテライト細胞を取り込み,細胞核の数を増やします.

筋繊維に損傷を起こす方法

「筋繊維の損傷」が,細胞核の数が増えるきっかけであることを説明しました.

次に,この筋繊維の損傷をどうやって生み出すのかについて説明します.

筋繊維が損傷すると好中球の酵素などにより,筋肉痛が発生することを説明しました.

そのため,「強く筋肉痛が発生するようなトレーニング」は損傷が発生していることになります.

ただし,ここでいう筋肉痛とは,「遅発性筋肉痛」と呼ばれ,トレーニングの翌日や翌々日に発生するタイプの筋肉痛です.

よって,トレーニングの翌日・翌々日に筋肉痛がきていれば,うまく損傷を起こせていることになります.

このような遅発性筋肉痛を起こすコツがあります.

筋繊維の損傷は,「出している力よりも大きな力が筋繊維にかかる」ことで生まれます.

出している以上の力がかかるので,筋繊維は耐えられず,傷がついて損傷になります.

ここで,「大きな力」がかかる必要があるので,高負荷の重りを使用する必要があります.

次に「出している力よりも大きな力をかける」ことが必要です.

トレーニングには重りを上げる動作と,下げる動作があります.

重りを上げる動作は,コンセントリック動作とかポジティブ動作と呼ばれます.

ですが,上げる動作の場合,出す力よりも重りのほうが重い場合は,そもそも重りが動かないため,上げる動作で,出す力以上の負荷をかけるというのは難しいです

一方で重りを下げる動作は,エキセントリック動作とかネガティブ動作と呼ばれます.

下げる動作の場合,重りが上がっているところから始まります.

重りよりも大きな力を出していると重りが下がらないので,重りを下げているときには「出している力よりも大きな力が筋肉にかかっている」状態になります.

このときに,絶妙に力を制御すれば損傷せずに重りを下げることができるのですが,人間の脳は筋肉の動作をそこまで細かく制御することはできません.

そのため,高重量の重りを下げる動作によって筋肉が損傷します

トレーニングで「ゆっくり丁寧に重りを下げましょう」と言われますが,これは実はネガティブ動作をきちんとして,筋肉に損傷を生むことを目的としたアドバイスになっています.

これらの生理学的メカニズムを実際のトレーニングに落とし込む点については,各部位ごとに別記事で詳細を説明します.

一般に筋トレでは,8回持ち上げられるくらいの重さで8回持ち上げましょう(8RMで8レップ)と言われます.

ですが,筋損傷を生み出し,細胞核を増やすことを目的とするときには,

「5回持ち上げられるくらいの高負荷の重さで5回持ち上げ,とくに下げる動作を丁寧にする」というのが効果的になります.

以上が,「筋繊維に損傷を起こす方法」の説明になります.

細胞核を増やすのに効果的なサプリメント

次に,細胞核を増やすのに効果的なサプリメントを紹介します.

まずトレーニングで筋損傷を生み出すことが大前提です.

そして,損傷から細胞核が増えるまでの流れは既に説明したとおりですが,好中球やマクロファージといった「白血球の免疫システム」が重要でした.

そのため,免疫システムを補助するサプリメントを効果的に使用することによって,効率的に細胞核を増やすことができます

免疫システムを補助するサプリメントとしては,グルタミン,そして亜鉛が挙げられます.

これらのサプリメントがどうようにして免疫システムを補助するのかや,摂取方法,そしてコストパフォーマンスの良いおすすめの製品の紹介は別記事で説明します.

亜鉛サプリメント「ZMA」の紹介

グルタミンの効果とおすすめ製品の紹介

細胞核の数を増やす方法のまとめ

細胞核の数を増やすには,筋損傷が必要であり,筋損傷が発生するとサテライト細胞が取り込まれて,核が増えることを説明しました.

また筋損傷をトレーニングで発生させるには,高負荷でのネガティブ動作が重要であることを説明しました.

細胞核はタンパク質製造工場の役割を担っているため,筋繊維を大きくするために重要ですが,実はトレーニングを止めても減ることはありません

「昔筋肉がついていた人は,再度筋トレしたらすぐに筋肉がつく」ことが知られています.

これはマッスルメモリーとも呼ばれるのですが,実はその背後には,昔の筋トレで細胞核の数が増えているという理由があります.

また,ライ○ップや筋トレサプリなどで,たった3ヶ月で一気にムキムキになっている写真がありますが,これもマッスルメモリーをうまく使っている(のかもしれません・・・)

筋肉を増やすサプリメントとして,アナボリックステロイドという名前を聞いたことがあると思います.

実はアナボリックステロイドの働きの一つに,細胞核を増やすことを補助する働きがあります.

さすがに副作用があるのでアナボリックステロイドを使用することはできませんが,「細胞核を増やすこと」が筋肉を大きくするのに役立つことが分かると思います.

以上,細胞核を増やす生理学的メカニズムを紹介しました.

次回記事では,「細胞核あたりの収縮タンパク質を増やす方法」の詳細を説明します.

初心者・中級者が劇的に筋肉をつけるコツ③:収縮タンパク質の量を増やす方法

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