本記事では,筋肉がつく生理学的メカニズムを説明します.
「筋肉がつく=筋肥大」と呼びます.
適切なトレーニングやサプリメントを選ぶには,筋肉がつく生理学的メカニズムをきちんと理解する必要があります.
でないと,間違ったトレーニングを繰り返して効果が現れなかったり,くだらない通販サプリメントにひっかかったりします.
「筋肥大の生理学的メカニズムを理解する」って聞くと難しそうですが,安心してください.
「ゴリラはなぜムキムキなのか?」
それが理解できれば,大丈夫です.
初心者の方にも理解できるように,絵をたくさん使ってひとつずつ説明していきます.
ゴリラがムキムキな理由
ゴリラはなぜムキムキなのでしょうか?
ゴリラはプロテイン飲まないです.それどころか肉も食べないです.
バナナとリンゴを食べているイメージですよね
ちまたのサイトでは,
「ゴリラや牛は,腸の中に微生物がいて,微生物の力で草や果物からアミノ酸を生み出せるため,肉を食べなくても筋肉がつきます」
と説明されています.
「なるほど~!だからゴリラはプロテインやお肉を食べなくてもムキムキなのか」
と,納得しないでください.
微生物からアミノ酸が作れることは,ゴリラがムキムキな理由の半分です.
では,ゴリラはなぜ
筋トレしていないのにムキムキなのか?
動物園のゴリラが筋トレしてるとこなんて見たことないですよね.
人はお肉を食べて,プロテインを飲んでるだけではムキムキにはなりません.
筋トレが必要です.
なのにゴリラはなぜ筋トレなしでムキムキなのか?
それを理解するためには,「筋肉がどういうふうにできているのか」を理解する必要があります.
筋肉の構成
上の図のように,筋肉は筋繊維と呼ばれるものが束になってできています.
そのため,筋繊維の数が多ければ多いほど,筋肉は大きくなります.
筋肉質な人はこの筋繊維の数が元々多かったりします.
ゴリラも人より多いです.
ですが,筋繊維の数は遺伝的なもので,トレーニングで増えないとされています.
※ミオスタチンという遺伝子が関わっていて遺伝的要素が強い
それでも,筋トレをしたときに筋肉が大きくなるのは
筋繊維が増えるのではなく,筋繊維1本1本が太くなるからです
筋繊維を太くする方法
先ほどの筋肉の図から,筋繊維を1本取り出して,拡大します.
筋繊維はひとつの大きな筋細胞からできています.
筋細胞の中には,収縮装置=収縮タンパク質(アクチンとミオシンと呼ばれる)と,アクチン・ミオシンを生み出すタンパク質生成工場=細胞核からできています.
細胞核は,筋細胞のなかに1つではなく,たくさん存在しています.
そのため,細胞核がたくさんあるか,細胞核あたりの収縮タンパク質の量が多ければ,筋繊維が太くなります
ただしひとつの細胞核には,維持できる収縮タンパク質の量に限度があります.
そのため,少ない細胞核でたくさんの収縮タンパク質を作ることはできません.
よって,筋トレで筋肉を大きくするには
「細胞核を増やすこと」と「細胞核当たりの収縮タンパク質の量を増やすこと」が必要です
筋肥大に関する2種類のトレーニング手法
実は筋トレで筋肉を肥大させるのにも,「細胞核を増やす」トレーニングと「核あたりの収縮タンパク質の量を増やす」トレーニングの2種類があります.
それぞれの詳細は次回記事で紹介しますが,ここでは簡単に2つを説明します.
よく,「自重トレーニングでは筋肉はつきにくい」とか言いますよね.
実はこれは正しくは,自重トレーニングでは「細胞核が増えにくい」です.
細胞核を増やすには,筋肉痛になるような高重量でトレーニングをする必要があります.
初心者・中級者が劇的に筋肉をつけるコツ②:細胞核の数を増やす方法
一方で,自重トレーニングとか高校の部活とかでも筋肉はつきます.
その他に,引越し業者の人や佐川の人も,筋肉ありますよね.
これはなぜなら,「核あたりのタンパク質量」は高負荷トレーニングだけでなく,自重系や低負荷のトレーニングでも増えるからです.
初心者・中級者が劇的に筋肉をつけるコツ③:収縮タンパク質の量を増やす方法
つまり,自重系のトレーニングでも筋肉はつきます.
ただし,細胞核は増えません.
そのため,ある程度まではムキムキになれるのですが,核あたりの維持できるタンパク質量まで増えると,それ以上には筋肉がつきにくいのです.
だから,佐川のお兄さんはムキムキですが,ボディービルダーみたいなことにはなりません.
また,ゴリラの話に戻りますが,ゴリラはダンベルやバーベルは使っていないですが,自重トレーニングをしているため,核あたりのタンパク質量が多く,ムキムキなのです.
ゴリラは自重トレーニングをしていると言いましたが,さすがに腕立て伏せやスクワットはしていません.
ですが,ゴリラは身長が180cmくらいで体重が200kgぐらいあります.
人間でガタイが良い人だと180cmの100kgぐらいなので,ガタイが良い人がいつも100kg分の重りをつけて生活しているようなものです.
ゴリラを人間に置き換えると,日常生活のすべてが自重トレーニングになります.
筋肉の公式:ゴリラがムキムキな理由のまとめ
以上の話をまとめると,上の「筋肉の公式」になります.
ゴリラはなぜムキムキなのかという話にあてはめると,
ゴリラは遺伝的に「筋繊維の数」が多く,「細胞核の数」も多いです.
さらに大きな身体による自重トレーニングによって,「核あたりのタンパク質量」が多くなっています.
以上がゴリラがムキムキな理由になります.
ゴリラの話は正直どうでも良いのですが,
以上の生理学的メカニズムから整理した「筋肉の公式」
に従って,自分のトレーニングやサプリメントを考えることが重要です.
またトレーニングに慣れてきて中級者・上級者になると,「ピリオドダイゼーション」といってトレーニング日によって重さを変えるようになります.
それは,核を増やすトレーニングと,核あたりのタンパク質量を増やすトレーニングの両方を効率的に実現するために負荷を変えているのです.
次回記事では,「核を増やすトレーニング」の詳細を説明します.
初心者・中級者が劇的に筋肉をつけるコツ②:細胞核の数を増やす方法
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