速筋と遅筋の性質の違い

本記事では「速筋と遅筋の性質の違い」について解説します.

速筋と遅筋の性質の違い,とくに「どのような物質を使って収縮するエネルギーを生み出しているか」の違いを理解することで,より効果的にトレーニングをして,筋肉を大きくすることができます.

「速筋」はすばやく動かすことができ,大きな力を出せます.

「遅筋」は持久力があり,長い時間動かすことができます.

ボディービルダーや100m走の選手は「速筋」が発達しています.

一方でマラソン選手は「遅筋」が発達しています.

筋トレで鍛えるのは速筋です

それでは,速筋と遅筋の違いについて,分かりやすく解説していきます.

速筋と遅筋の見た目の違い

速筋と遅筋の見た目の違い,特に,「色」「大きさ」について説明します.

「速筋」は白色をしています.

一方で「遅筋」は赤色をしています.

「遅筋」が赤い色をしているのは,血液が赤い色をしているのと同じ理由です

血液が赤いのは,血液中で酸素を運搬する「ヘモグロビン」の色が,赤い色だからです.

「遅筋」が赤いのは,細胞中で酸素を運搬する「ミオグロビン」の色が,赤い色だからです.

血液も遅筋も酸素を運搬する赤い物質が多いから,赤いです.

結果,「遅筋」には「速筋」よりもたくさんの「ミオグロビン」があるため,色が赤くなります.

また,ミオグロビンが多いと酸素をうまく使うことができます.

この点については,のちほど説明します.

よく速筋と遅筋の色については,赤身魚と白身魚で説明されます.

マグロのようにずっと泳ぎ続ける持久力が必要な魚は「遅筋」が多く,お肉が赤色です.

ヒラメのように,突然ピュッと動く魚は「速筋」が多く,お肉が白色です.

次に,速筋と遅筋の「大きさの違い」ですが,

速筋は発達すると大きくなりますが,遅筋は発達してもそれほど大きくなりません

この違いは,100m走選手は速筋が多くて筋肉が盛り上がっていますが,遅筋の発達しているマラソン選手は細身なことからも分かると思います.

そのため,筋肉を大きくしたいのであれば,「速筋」を鍛えることになります.

速筋と遅筋のエネルギー生産の違い

実は速筋と遅筋で,筋肉が収縮するメカニズムは同じです

筋肉を動かそうとすると,脳から筋肉へ伸びる「運動神経」が活動して発火します.

発火した運動神経は,筋肉中の「筋小胞体」を刺激し,筋小胞体から「カルシウムイオン」が放出されます.

筋肉の収縮タンパク質であるアクチン・ミオシンに「カルシウムイオン」「ATP(アデノシン三リン酸)」が送られると,アクチン・ミオシンがスライドして,筋肉が収縮します.

この収縮メカニズムは速筋と遅筋で同じですが,

途中で必要になる「ATP」の作り方が異なります

速筋にはATPを作る機構が2つあります.

速筋のエネルギー経路の1つ目は「解糖系」と呼ばれる経路です.

炭水化物が消化されるとグルコース(ブドウ糖)に分解されますが,このグルコースは「グリコーゲン」という形で筋肉に貯蔵されます.

このグリコーゲンが筋肉中で分解されるときにATPを生み出します.

速筋のエネルギー経路の2つ目は「ATP-CP系」と呼ばれる経路です.

フォスファゲン機構とも呼ばれます.

タンパク質が消化されたアミノ酸のひとつである「クレアチン」は,「クレアチンリン酸」という形で筋肉に貯蔵されます.

このクレアチンリン酸が分解されるときにATPを生み出します.

筋トレでクレアチンが有効なのは,この経路を活用しているからです.

一方で遅筋がATPを生み出す経路は「酸化系」と呼ばれます.

これは脂肪と酸素を使ってATPを生み出します.

遅筋は「ミオグロビン」が多いためうまく酸素を使うことができ,酸素と脂肪からエネルギーを作り出せます.

このように三大栄養素である,炭水化物,タンパク質,脂肪がそれぞれの経路で筋肉を収縮させるATPエネルギーになるのです.

なんか面白いですね.

最後に,素朴な疑問なんですが,

「遅筋」であるマグロや牛肉を食べて,「速筋」は増えるのでしょうか?

答えは増えます

なぜなら,速筋と遅筋はエネルギー機構は異なりますが,収縮メカニズムは同じであり,収縮タンパク質の部分は同じようにできています.

※厳密には速筋と遅筋でミオシンタンパク質の性質は少しは異なります

そのため「速筋・遅筋」を消化・分解されたときに生まれるタンパク質やアミノ酸は基本的には変わらないので,速筋を食べるのか,遅筋を食べるのかは問題ありません.

マグロとヒラメではマグロを食べる方が人間の筋肉を大きくしてくれます.

それは単純に人間の筋肉に必要なアミノ酸組成としてはマグロの方が近いからで,速筋・遅筋は関係ないのですね.

そのため,遅筋である赤身を食べても人間の速筋は大きくなります.

以上,速筋と遅筋の性質の違いでした.

その他,筋肉がつくメカニズムについての解説はこちらもご覧ください

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